戦国時代の東北地方は、広大な領土を持つ伊達氏や蘆名氏、最上氏といった有力大名が覇を競い、独自の歴史を歩んだ。
中央から遠く隔絶されていたため、畿内のような統一政権の影響を受けにくく、各勢力は独自性を保ちながら激しい攻防を繰り広げていた。
この地で築かれた城郭は、厳しい気候や地形を活かし、他地域とは異なる発展を遂げている。

関東地方は、古くから日本の政治的要衝であり、戦国時代には北条氏をはじめ、多くの有力大名が覇権を争いました。
中央の動向と密接に結びつきながら、独自の城郭文化が発展しました。
応仁の乱に先がけて勃発した享徳の乱では、鎌倉公方と関東管領の対立から始まり、さらに室町幕府との関係悪化が引き金になったといわれている。
広大な平野部と複雑な地形が混在するため、平城から山城まで、多様な形式の城が築かれたのが特徴です。

甲信越地方は、戦国最強と謳われた武田氏の本拠地のある甲信地方。
それに相対した越後長尾氏の居城のあった越後。 特に甲信地方は甲斐の武田氏が伸張するしたがい、旧来の勢力下にあった城を改築しながら、独自の築城技術と防御思想が発達していった。
四方を山々に囲まれた内陸部という地理的特性から、自然地形を活かした堅固な山城が多く築かれていく。
特に北信濃については、山岳地帯もおおく自然の要害を利用した堅固な城跡が多く、また甲斐武田氏と越後長尾氏の国境ということもあり、単なる防御施設にとどまらず、領国支配の拠点であり、軍事作戦の要衝として機能していった。
またこの地方の城郭をめぐると、なんらかのカタチで武田氏にゆかりがあることに気付かされる。

東海地方は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった天下人を生み出した地です。
この地の城は、天下統一への過程で、軍事面だけではなく、経済的にも要衝として重要な役割を果たしている。

近畿地方は、日本の政治・文化の 中心であり、戦国時代にも多くの武将らの手により城郭が築かれていった。
特に織豊時代になると、織田信長や豊臣秀吉によって次々と革新的な城を築かれていく。
これらの城は、権威の象徴であると同時に、最新の軍事技術の集大成でもあり、石垣や天守といった近世城郭の要素が最も早く確立した地域です。

戦国時代において本州の西端に位置する中国地方では、大内氏、尼子氏、そして毛利氏が覇を競いあい、また九州地方は、大友氏、島津氏といった有力大名が勢力を拡大していた。
時には中央勢力との連携・対立の中で、激しい攻防が繰り広げられた地域だ。
瀬戸内海や日本海、そして東シナ海を通じての交易が盛んであったため、他の地域とは異なった経済圏を確立していった。
このため多くの拠点で交易がおこなわれ都市が発達していき、城郭は軍事のみならず流通の要衝としても機能していた。